May 2021

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挿絵の作業も大詰め。
夜中の静寂がとても親密に感じる。難しいけど、心地良い時間だ。


延暦寺の浄土院にひとり、侍真(じしん)という僧がいる。
侍真僧になるためには、好相行という厳しい修行を経なければならない。

何でも、仏様の姿が見えるまで永遠と続けるらしく、しかも自己申告制。


見えたっと軽々しく筆を動かすと、嘘でしょ〜と、もうひとりの自分。
自己申告って、厄介なのだ。

寝たっ。今寝てたでしょ〜?ともうひとりがうるっさい。







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額縁専門店で、額装のオーダー。

これは画家じゃなくて、アートディレクターとかデザイナーの分野だね。
1回悩むと答えが永遠に出ないので、直感と瞬発力が大切。

頭からどんどん決めていったけど、枚数がアレで、気づくと2時間経過。


発注し終わってホッとしたのかな。
帰りに寄った立ち食いそば屋で、急にウトウト・・・

かき揚げ天そば。もう食べ慣れてるから、半目でも完食。







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久しぶりにカフェで本の挿絵仕事。しかもかなり急ぎだ。
こういう難しい作業は、カフェがいちばん。

自分の心の弱さは、よ〜く解ってる。
だから逃げ道をなくした空間の方が、逆にラクなのね。

テキパキ進めてると、ふと通りすがりに僕に頭を下げるご年配。

なんだ・・・


よくわからないけど、昨日もスーパーでお婆さんがまっすぐ綺麗な目で
「遊行寺でしょうか?」と近所のお寺の名を言ってきた。


だから、僕は坊さんではありません。







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個展が、無事に終了。

いろんな方々と絵を通して、深く対話が出来たような気がする。
そしてこういう時期でもあり、ひとつひとつが濃かったと思う。

その時、その空間でしか、味わえないものだから。



・・・さ、アタマを切り替えて、片付け開始。

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助手たちも慣れてきたのか、搬出作業が抜群に早い。業者か。
キャラバンに積み込み、高速を飛ばしてアトリエへ。再び荷下ろし。

ようやく、終わった・・・

開放感に包まれるも、お店が一件も営業してないというトラップ。
仕方なく家に帰って自炊。余力ゼロの乱雑トマトパスタで乾杯。充分だ。


絵を支えてくれる方々へ、心から感謝しつつ。








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個展という行為って何なんだろう・・・という長年の問い。
やればやるほど、ホントに解らなくなってくる。

連日、帰りの夜道をてくてく歩きながら、自問。

でも先程、急にふわっと良い例えが降ってきて、スッと腑に落ちる


あぁ・・・そうか。なるほど、と。
苦笑しながら、三度頷く。

続けていると、いろんな段階があるのねぇ・・・


明日で終わりです。








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雨にも関わらず、たくさんの方々が来廊。

絵を媒介にして、おしゃべりをする・・・って、僕でさえ非日常だ。
ゆえに、いろいろと発見があって、とても有り難い。

絵の配置を変えるだけでも、印象がふわっと変わる。
服装や髪型ひとつで、人相ががらっと変わるように。


余談だけど、お坊さん以上にお坊さんっぽい、と何人かに言われる。







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本日、待望のCDがリリース
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はたけやま裕
『You's Literary Notes』
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内容のぎっしり詰まった秀逸な作品集。是非!


今日は、雨がしとしと。静かなギャラリーで、物思いに耽る。
そろそろ配置とか作品を変えてみようかな・・・

結局いつも、最終日までごちゃごちゃやるんだよね。








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さて・・・
ゆっくりとタイトルを貼ったり、コトバを考えたりしよう。
個展ってそもそも何なのか、を冷静に考える時間。

と、タカを括っていたのだけど・・・
友人や知人がどしどし来てくれて、気付いたらもう閉廊時間。

そそくさと退出。写真もこれしか撮ってないし。


個展って・・・大切な人々に会える稀有な機会。

ということだけは、わかった。







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キャラバンをレンタカーして、よっこらしょと搬入。

赤レンガ倉庫で展示してた時期もそうだったけど、
馴染みになった空間って、一年越しでも久しぶり感が全くないのね。

というか、あの日の続きをやってる錯覚に陥る。1週間振りという感じ。

・・・ボケてきただけかも知れない。


明日から展示してます。ぼ〜っとしに来てください。

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蒲原元 絵画個展 
弘重ギャラリー
5月18日(火)〜23日(日) 11:00〜19:00
(最終日は17:00まで)
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この10日間は、馬鹿みたいに描いてばかり。
脳に絵具が染みちゃうのでは、と心配になるくらい。

夜中にぼうっと休憩してると、深い谷底にいるように静か。



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朝の4時半くらいかな。
朝陽がさーっ・・・とアトリエの反対側から差し込んでくる。

眠たいのだけど、絵画眼は冴えてて、次に塗る色が見えてくるのだ。


年に一度の、画家らしい日々。








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さて、ごちゃごちゃな状況になってきた。いつものことだ。

完成させた方がいい絵たちをよそに、新しいのや大きなやつに向かう。
アトリエはさらに混乱していく。

たぶん・・・

絵を完成させることが、もともとキライなんだろう。


今さら、気づく。この困った性質。






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描いてるのは、この僕じゃなくて、もうひとりのなにかだ・・・
というのが、わかってきた。

比喩じゃなくて、リアルにそう感じる。
少なくとも、良い絵を描いてる時は、そいつだ。

この僕じゃない、というのが厄介だし、理不尽だと思う。


でそいつがまた、気分屋ですぐ拗ねたり、いなくなったりする。
頼むよ・・・







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ずっとアトリエで、黙々と。

気がコロコロ変わるので、ゆえに断片だらけ。人生もそんな感じだ。
せっかくの機会なので、まとめる。ファイルにしたら見やすいかなと。


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まとめる作業も、すぐ飽きる。でまた次の断片へ。増え続ける一方。
描いては放っぽり、上からまた潰して描いたり。


こう言っちゃなんだけど・・・

個展よりも、アトリエの途中経過の方が、面白い絵が多いと思う。








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はたけやま裕・最新アルバム「You's Literary Notes」
5月19日リリース。(個展会場でも販売開始)


子ども達がヒマそうなので、ちょっと日記用に写真たのむわ・・・

ごちゃごちゃ3人でやったのち、末っ子の撮ったこの写真が選出。
傍で見てたけど、ほいほいほいっと早くて軽い。


その軽さが、いいんだろな。







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昨日観た、バレエの舞台が素晴らしかった。

「観る」ってこんなに大切なことだったんだ・・・と改めて。
久々に心がぎゅーっと充電されたのか、朝からぐいぐい筆が進む。

モデルさんにあの時の衣装でポーズお願いします、は可能だけど・・・
あえて、しない。僕が観たのは、あの空間のあの表現だから。


事実と違っててもいい。心が捉えてさえいれば。







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アトリエの窓辺に、夕方4時半から5時半まで、西陽が差し込む。
この時期だけなので、まるで配給を待ち望む行人のよう。

で、窓辺に置いてあったライターをしゃっと描いたり。

切り取り方さえ理力を使えば、自動的に絵になる・・・はず。


夕食を作りに帰らんといけないし、地平線の雲がすぐ光を遮るし。
そわそわと独りで忙しい・・・

そこが、またいい。






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実は・・・LIVEが飛ぶと、精神的にしんどい。
越えるべき登山の難所の前で、ふわっとヘリで下山しちゃった感じ。

汗掻けなかったことが、逆にしんどいのね。


さて、気を入れ替えて、今日は絵だけに集中しよう・・・

う〜ん・・・足掻いても逆立ちしても、筆が全く乗ってこない。
俺って、絵描くの下手だなぁ、というとこまでずっと落ちて・・・

夕方過ぎに、海底に足がトンっとついた感じ。


よかった。よくやく描けそう。